ナイフ使いが現れ、仮面の留め紐を切られてしまう。

やめてーっ!
みさとりんは、素顔を見られ、魔星に正体を暴かれてしまった。

イヤーッ!
あまりの衝撃にメグミは悪夢から目覚める。

ハァハァ、嫌な夢だったわ。
最近のメグミは、毎晩のように夢を見ており、不思議な事に、それが全て正夢になっていた。

この前、見たのは苦手科目のテストで100点を取った夢。
信じられないけど、本当の話になった。
その前に見た夢は、懸賞に当たった夢。
1万分の1の確率という事で全く期待していなかったんだけど、
これも本当に当たった。
見た夢が現実の話になるという正夢。

でも、昨日の夢は「みさとりん」の正体が
バレてしまうという、とんでもない夢。
これは、本当になったら大変だわ。
でも、私は、プラス思考。
良い夢は、正夢になっても、悪い夢は、ならないよね?
メグミは、学校が終わると、みさとりんに変身し、魔星のいる場所に向かった。
そこには、ナイフを持った魔星・ジャックがいた。

(夢に見た魔星と同じだわ。
なんか嫌な予感・・・)

みさとりん、覚悟。
ジャックが、ナイフを構え、突っ込んで来た。
みさとりんは、エアー・フライトで上昇し、ナイフによる攻撃は交わしたものの、
マントの端をジャックに掴まれ、引っ張られた事で、みさとりんは、地面に落下する。

きゃっ!
そして、ジャックがナイフを一振りすると、
みさとりんの仮面の留め紐に当たり、留め紐が切れた。

キャーッ!
留め紐が、宙ぶらりんになり、ジャックは「みさとりん」の仮面を剥がしに掛かるが、
みさとりんは、手袋をした両手で仮面を押さえる。
抵抗する「みさとりん」にジャックは、仮面を剥がす事を諦め、
今度は「みさとりん」のマントを剥ぎ取ろうとした。

駄目よっ!
私のマントに何をするのっ!
みさとりんは、片方の手でマントを押さえるが、
仮面を押さえる手が片手になったのをいい事に、ジャックは再度、仮面に手を掛ける。
みさとりんは、マントを諦め、両手で仮面を必死に押さえる。
こんな時こそ、タイム・ストップの魔法だが、老ける話を思い出し、躊躇してしまう。

やめてーっ!
みさとりんが、悲鳴を上げる。

このままでは「みさとりん」の正体がバレてしまうわ。

き、消えた!
みさとりんは、一体どこへ?

こ、ここは?

スター・シップの中よ。

由衣、由夏・・・。
みさとりんは、驚く。

仮面を剥がされる寸前だったから、ここへ連れ戻したの。
由衣は、みさとりんの外れ掛かったマントを直したり、
切れた仮面の留め紐を結び直すなどの応急処置をした。

さあ、もう大丈夫よ。

こんな屈辱、初めてだわ。

でも、どうして?
「みさとりん」らしくないじゃない。

分からないわ。

エレクトリック・ショックも使えただろうけど、
仮面とマントを守る事に必死だったのね。
みさとりんは、泣きながらコントロール・ルームを飛び出し、
自分の部屋へと走って行った。
そして、自分の部屋で一人、涙を流していた。

初めての敗北だわ。
悪い夢でも正夢になるなんて・・・。
これからどうすればいいの?
悪い夢を見てしまったら、もうダメなの?
分からない。
誰か教えて・・・。
しかし、みさとりんは、

今回の敗因は、色々あるけど、仮面の留め紐さえ切られなければ、
こんな事には、ならなかったように思うわ。
こうなったら、由衣と由夏に仮面を改良してもらうしかない・・・。
みさとりんは、スター・シップ内にある自分の部屋から出ると、
コントロール・ルームにやって来た。

由夏、仮面の留め紐を切られてしまったら、
気になって思うように戦えないわ。

仮面の事は、私達も気になってはいたんだけど、
本来の仮面の能力が復活するまでには、
まだ時間が掛かるみたい・・・。

留め紐だと、動く度にズレるし、切られる事が無いように
粘着テープで固定してもいいんだけど、1つ問題がね・・・。

問題って?

250年前の「みさとりん」の話になるんだけど、
顔が、かぶれて困った人がいたの。

しかし、エスパーという魔星に
仮面が、留め紐で固定されている事を知られて以来、
魔星達は、正体を暴く為に留め紐を狙って来るようになった今、
そんな事、言ってられないわ。

留め紐を粘着テープに変更するわ。

あれから250年が経った今、
かぶれない医療用の粘着テープが、あるもんね。
仮面の裏側には、大量の両面の粘着テープが貼られ、
みさとりんの変身プログラムが変更された。

これで、どんなに激しい動きをしても、仮面がズレる事も無いし、
留め紐を気にする必要も無いわ。

次からは、変身する度に粘着テープになるの?

もちろん。

じゃ、変身し直すわ。
みさとりんは、メグミの姿に戻ると、

メグミは、みさとりんに変身した。
髪を掻き上げると、確かに仮面の留め紐は無く、仮面がピッタリと顔に貼り付いていた。

本当だわ!
首を横に振っても全く仮面がズレないわ。
これで紐を切られる心配も無く、安心して魔星と戦えるわ。

さあ、魔星のジャックにリベンジよ。
勝利を確信した「みさとりん」は、
得意気に手袋をした右手の人差し指で鼻の下を擦るのであった。