以前から少女に執拗に付きまとうストーカーという魔星が、街に現れ、
大きな問題となっていた。
ある日、メグミは、学校からの帰りに、コンビニの前で
バスケ仲間のヒトミと、立ち止まって話をしていた。
すると、風上から異臭が漂って来た。

ねぇ、メグミ、なんか変なニオイがしない?

そうね、何のニオイかしら?
くっさ~い。
メグミは、鼻の下に右手の人差し指を当てて、臭いニオイを防ぐ。
そして、ヒトミが、風上に目を向けると、

メグミっ!
今、噂になっているストーカーよ。
私達の方を見ているわ。

いや~ね。
悪臭の原因は、あのストーカーだったのね。
それにしてもクサ~イ。

わっ!
こっちに向かって来るわ。
二手に分かれて逃げましょう。
私は、こっちに逃げるから、メグミは、あっちに逃げて!

分かった。
すると、ストーカーは、メグミの方に狙いを付けた。
そして、メグミは、逃げる途中で地下街へ続く階段を発見し、下りて行くのだった。
しかし、その地下街は、数日前に閉鎖され、
店のシャッターは、全て閉ざされ、無人になっていた。

しめた!
あの地下街に入ったら最後、逃げ道は無い。
メグミは、地下街の通路を奥へ奥へと進んで行くが、その先は行き止まりになっていた。

メグミは「みさとりん」に変身する。
そして、ストーカーが追って来て、通路の角を曲がると、そこには「みさとりん」がいた。

お、お前は「みさとりん」!
なぜ、みさとりんが、ココにいるのだ?
それに、さっきの少女は何処へ行った?

少女が、あなたに追い掛けられているのを見て、助けに来たの。
少女は、安全な場所に避難させたわ。

ば、馬鹿な!
こんな逃げ場の無い所で、
どうやって避難させたというのだ?

私は、魔法使いよ。
何だって出来るわ。
みさとりんは、誇らしげに手袋をした右手の人差し指で鼻の下をこする。

そう言えば、以前、魔星のホステージが、
人質を「みさとりん」に一瞬で奪われた事があったな。
今回も同様の手口で救出という訳か・・・。
この野郎、俺の邪魔をしおって・・・。
しかし、俺は「みさとりん」も大好きだ。
さっきの少女の代わりと言ってはなんだが、お前を・・・。

あなたなんかに食べられたくないわ。

まずは、俺の愛を受け取れい。
ブロー・キス。

聖なる壁にストーカーの投げキッスは防がれたが、息は、壁をすり抜けた。

くっさ~い。
みさとりんは、鼻の下に手袋をした右手の人差し指を当てて、臭いニオイを防ぐ。

ん?
俺の甘い息を・・・。

マントを翻すと、強風によって臭い息が、ストーカーに降り注ぐ。

おわっ!
く、くっせーっ!

それが、あなたの口臭よ。

ええい、キスは、もういい。
俺が欲しいのは、愛の抱擁だ。
ハグ・オブ・ラブ。
ストーカーは、両手を広げ、みさとりんを抱きしめようと走って来た。

ストーカーは、泡に包まれる。

クサイ者にはフタをしなくっちゃね。

俺も、これで終わりか・・・。
しかし、何度、考えても、おかしい。
さっきの少女を安全な場所に避難させたのだったら、
そのまま、お前も立ち去れば良かったのに・・・。
なぜ、ここへ戻って来たのだ?

そ、それは・・・。
あなたを退治する為よ。

そうか・・・。
それなら納得がいくが、しかし、やはり、さっきの少女が気になる。

私も忙しいの。
さっさと片付けさせてもらうわよ。

ちょっと待て。
今、魔星達の間で、お前の仕草が話題になっている。

仕草?

俺の息を防ごうとした時、
お前は、右手の人差し指で鼻の下を押さえた。
そして、さっきの少女もコンビニの前にいた時、右手の人差し指を
鼻の下に当てていたが、その仕草は、寸分狂わず同じだった。

だから、私が、さっきの少女と同一人物だって言いたいの?

お前の正体、見破ったぞ!
あの制服から聖(セント)クラリス学園の生徒だな。
名札には「立花メグミ」と書いてあった。
自分の本名を言われながらも平静を保とうとする「みさとりん」ではあったが・・・。

ハハハ、図星だな。
俺の目は、凄くいいのだ。
遠くにある文字が読めるだけでなく、
ちょっとした仕草や動揺も見逃す事は無い。
やはり、お前は、さっきの少女だ。
追い詰められて、とっさに変身するとはな。
ゼウス様に報告したかったが、
泡に包まれた今、テレパシーが通じないぜ。

バブル・ラップの事をよく御存知で。

ああ、俺達はテレパシーで、お前の情報を共有し合っているからな。

御苦労様。
じゃあね、シュート・イン。
ストーカーは、消え去ったが、正体を暴かれた事に動揺を隠せない「みさとりん」。

あの状況で「みさとりん」に変身するのは、
ちょっと無理があったのかなぁ~。
それにしても、魔星の正体暴きは本当に脅威だわ。