
みさとりんに変身したと言っても、
本当に無敵になったのか、信じられないな~。

大丈夫よ。
では、我らが「みさとりん」の記念すべき初陣の相手は、
スライムにしましょう。
スライムは、魔星の中でも最弱の相手よ。
小手調べに戦ってみて。

このスライムという魔星は、ビルに放火して、
たくさんの人の命を奪ったの。

でも、フェアリー・スターには死刑制度が無いから、
デビル・スターに送られて終身刑になっていたの。

放火なんて許せないわ。
魔星は、デビル・スターで浴びたフレアーを大量に体内に蓄積しているが、
乾電池が、自然放電するように、フレアーも魔星の体から
極微弱ではあるが、常時、放出されていた。
そして、スター・シップの前方にある
巨大モニターに映し出されたフェアリー・スター全域の地図には、
フレアー反応がある場所に赤い印が表示されるようになっていた。

フェアリー・スターの各地に、たくさんの赤い点が見えるでしょ。

うん。
これだけ魔星達が戻って来たって事ね。

この中でスライムは・・・。
あっ、いたいた!

で、どうやって魔星を倒すの?

倒すというより、みさとりんの使命は、
フェアリー・スターに戻って来た魔星を、
デビル・スターに送り返す事。
殺しはせず、デビル・スターに帰して罪を償わせるのよ。


分かったわ。

その後の事は、イヤリングを通して私達がアドバイスをするわ。
みさとりんが、スライムの前に現れる。

誰だ、お前は?

私は、魔星ハンター・みさとりん。

魔星ハンター?

あなたをデビル・スターへ帰す為に、やって来たの。

なんだと?
俺を、あの地獄へ戻すと言うのか?

そうよ。
250年に1度のフェアリー・スターと
デビル・スターの最接近によって、
フェアリー・スターに戻って来た魔星達を
退治するのが、私の使命なの。

何を、たわけた事を・・・。
俺は、魔星だぞ。
お前達フェアリー・スター星人とは違うぞ。
やれるものなら、やってみろ。

バブル・ラップ。
イラスト by ねもこ様
みさとりんの指先からシャボン玉のような泡が出現し、スライムが、泡に包まれた。

なんだ、これは?
俺は、閉じ込められてしまったのか?

そうよ。
あなたをデビル・スターへ帰す為に、この泡で包んだのよ。

ええい、こんな物、叩き割ってやる。
「ドカッ、ボカッ」

スライムが、泡に攻撃を仕掛けているけど、大丈夫かな?

その泡は、みさとりんにしか壊す事は出来ないわ。
スライムが、いくら泡の内部からパンチや蹴りを入れようと、泡が割れる事は無かった。

ハァハァ・・・。
弾力があって、いくら叩いても壊れねーぜ。

みさとりんの腰にあるハート型のポシェットだけど、
中は、ブラックホールになっていて、
泡に包まれた魔星達を吸い込む事が出来るの。

「シュート・イン」って、言ってみて。

シュート・イン。
ポシェットのフタが開くと、中は宇宙になっていて、ブラックホールが渦を巻いていた。
そして、ものすごい吸引力がスライムを襲う。

ど、どういう事だっ!
お、俺の体が吸い込まれていくーっ!
スライムが、掃除機で吸い込まれるようにポシェットの中へと入っていき、
完全に吸い込み終わった後、自動でフタが閉じられる。

すごーい。

吸い込まれたスライムは、
デビル・スターにあるホワイトホールから吐き出されて
デビル・スターに放たれるという訳。

デビル・スターに強制送還って訳ね。
そして、デビル・スターでは、

おわっ。
スライムが、ブラックホールから吐き出されて、デビル・スターへ戻っていた。

ここは、あの娘が言った通り、デビル・スターではないか!
せっかくフェアリー・スターに戻る事が出来たのに、
また、この地獄に逆戻りかよ。
しかし、今のは一体、何だったんだ?

それにしても、この一連の動作を
一発で決めてしまうなんて、さすがね~。
簡単に見えて、結構難しい事なのよ。

そうなの?

歴代の「みさとりん」の中でも、
これだけ素質のある「みさとりん」なんて、そうそういないわ。

それだけ褒められると、私、木に登っちゃうよ。
みさとりんは、得意気に手袋をした右手の人差し指で鼻の下をこするのであった。