スライムとの戦いを終え、ひとまずスター・シップへと戻った「みさとりん」。

みさとりん、お疲れ様。
まずは、おめでとう。

みさとりん、初陣、格好良かったわよ。


みさとりんに変身すれば、なんて事ないでしょ。

でも、最初だけあって、すごく緊張して疲れちゃった。

だったら変身を解いて少し休んだ方がいいわ。

変身は、「コスチューム・アウト」と唱えれば、解けるわ。

コ、コスチューム・アウト・・・。
すると、みさとりんの変身が解け、メグミの姿へと戻った。
そして、由夏は、メグミを
スター・シップ内にあるプライベート・ルームへと案内した。

ここが、メグミの部屋よ。

わぁ~、綺麗ね。
ピンクを基調とした内装で、クマのぬいぐるみまで・・・。

メグミの好きな物ばかりを選んで改装してあるからね。

私の事は、隅々まで調査済みね。

当然じゃない。
ゆっくり休んで、また来てね。
メグミは、ドアを閉め、ベッドに横になった。

救世主かぁ~。
メグミは、みさとりんに変身する能力を与えられた事で、
みんなからチヤホヤされる事を想像した。


エヘヘ・・・、大した事ないよ。
副委員長の優子ちゃんから、そんな事、
言ってもらえるなんて照れ臭いわ。
みさとりんとなったメグミは、得意気に手袋をした右手の人差し指で鼻の下をこする。

何をやってもダメだった私が、
スーパーヒーローになる時が来たんだわ。
それも、この星を救うなんて、世界一すごい事じゃない。
メグミは、楽しい事を考えていると、たちまち疲れが吹き飛び、
次の魔星を退治をする為にコントロール・ルームへとやって来た。

あら、もう休憩は終わり?
すごく早いのね。

うん。
スーパーヒーローになった事を考えたら休んでなんかいられないよ。
ビシバシ魔星を退治して、立花メグミの名を
世界中に知らしめてやるんだから。

あっ!
「みさとりん」の正体だけは絶対に明かしちゃダメよ。

どうして?
こんな名誉な事なのに・・・。

魔星達の目的は、自分達を地獄に追いやった
フェアリー・スター星人達に復讐をする事。
そして、圧倒的な魔力をもってフェアリー・スター星人達を支配し、
この世界に自分達の理想郷を築くつもりなのよ。

しかし、そんな魔星でも「みさとりん」の力の前に全滅するのは必至。
魔星達も、今は、まだ知らないだろうけど、
いずれ、みさとりんの存在に気付くと思う。

そして、強力な魔星を送り込んで来るだろうけど、
その時に「みさとりん」に勝てない事を悟るのよ。
そこで、魔星達は「みさとりん」の正体を暴き、
変身前の弱い時を狙う事を思い付くはず・・・。

いくらメグミでもフェアリー・スター星人のままでは、
とても魔星には勝てないわ。
命を狙われない為にも、絶対に正体だけは知られては駄目よ。

それだけじゃないわ。
正体が魔星に知れたら、メグミの家族も危ない目に遭うから、
メグミが「みさとりん」である事は漏らしてはダメよ。

正体を特定されないように、
メグミの時と「みさとりん」の時とでは
言動に違いをつけて、一人二役を演じるようにして。

そんなの出来るかな~?

仮面の神秘的な力を利用するのよ。
人は、仮面を着けると、性格が変わるものなの。

幼稚園の時、メグミは、お遊戯で
正義の味方を演じた事があったでしょ。

うん。

あの時、引っ込み思案だったメグミの性格が、
仮面を付ける事によって強気になる事が分かったの。
喋り方も変わる事が分かっているわ。

でも、声までは無理だわ。

心配いらないわ。
みさとりんに変身すると、音声変換機能によって
声が変わるようになっているの。

そうなんだ!
自分では全然、気付かなかったわ。

違うように聞こえるのは、魔星と一般人にだけよ。

でも、声紋鑑定をされたら終わりじゃない?

大丈夫。
波形がグチャグチャになるよう
ノイズもたくさん含ませているから。

みさとりんの変身能力って、すごいのね。

それと、メグミは、スカートが苦手でしょ?

うん。
いつも半ズボンしか履かないな~。

スカートを履くと、おしとやかになる事も既に調査済みよ。

確かにスカートの中が見えないか気になって、
半ズボンの時ほど活発に動けなくなるわね。

その他、ヘアースタイルが、ポニーテールからツインテールになって、
髪の色も黒から水色に変わる事には気付いていると思うけど、
カラーコンタクトによって、目の色が、
黒からピンクに変わっているのは知ってた?

もちろん。
それと、お化粧もしているわね。
イラスト by りるくてぃ様

出来る限り、変身の前後で、外見が異なるように工夫しているのよ。

あと、みさとりんに変身した時は、手袋は脱がないようにしてね。
何か物を触った時に指紋が付いてしまっては大変だから。
特に仮面を外すなんて、もってのほかよ。