
メグミは、よく鼻の下を擦るけど蓄膿症なの?

ううん、全然。
これは小さい頃からの単なる癖よ。

でも、指で鼻の下なんか擦っていたら、見た目にも良くないよ。

私も、自分に鼻をこする癖がある事は、自覚しているんだけど、
鼻をこする動作は、無意識にやっているような気がするわ。

見た目が悪いのは、まだいいとしても、
問題は、正体を見破られる可能性があるって事ね。

でも、無意識にやっているんだったら、気の付けようも無いし・・・。

正体を見破られるか・・・。
自分では、よく分からないんだけど・・・。

10億円の懸賞金が掛かった事で、アンチみさとりん派も
「みさとりん」の正体暴きに力を入れているだろうしね。

あ~、こわい!
鼻を擦るの、もう、や~めた。

でも、魔星を倒した後に、
得意気に人差し指で鼻の下を擦る姿っていうのは、
みさとりんの決めポーズとして格好いいかも?

確かに様になっているわね。

やだ~、二人とも。
そんな風に言われると、照れ臭いじゃない。
メグミは、得意気に右手の人差し指で鼻の下をこする。

ほら。
また、やったわ。
やはり、鼻の下を擦る癖は、自然と出るようである。

この癖は、生まれつきのものよ。
直すのは無理だわ。
そして、某場所で、コスプレイベントが開催され、みさとりんのコスプレをする少女が現れた。
コスプレに才能のある天才コスプレイヤーだ。
手芸が得意なだけに、本物と全く区別がつかないほど、そっくりなコスチュームを着ていた。
そこへ、本物の「みさとりん」が、現れる。

凄いじゃない。
私に、そっくりだわ。
さすが、プロのコスプレイヤーね。

えっ?
あなた、もしかして、本物の「みさとりん」?

そうよ。

すご~い!
こんな機会、めったに無いわ。
一緒に写真を撮って。
コスプレみさとりんは、本物みさとりんと記念撮影をした。
すると、そこへ魔星のアームソードが、現れた。

(あっ!
あの魔星、この前、ヒトミを襲った時の・・・)

俺は、みさとりん候補者を調査する者。
お前達が、本物かどうか、調べさせてもらうぜ。
魔星とは知らないコスプレみさとりんが、

私達、どちらかが本物なのよ。
どっちだと思う?

何っ?
1人は、本物なのか!
2人の「みさとりん」は、それぞれポーズを取った。

まずは、お前からだ。
アームソードは、コスプレみさとりんの仮面に手を掛けた。

キャッ、何するのよっ!
マスクを取らないで!

これから顔を調べるのにマスクは邪魔だ。

(あの剣は、危ないから今のうちに避難よ)
本物みさとりんは、アームソードが、コスプレみさとりんを調べている間に、
アームソードの背後に移動した。

お前、本物ではないな。

どうして、そんな事が言い切れるの?

本物であれば、仮面は、もう留め紐で固定されていない。

そうなの?
そんな事まで知らなかったわ。
やっぱり、本物には敵わないわね。

では、本物は、どこへ行った?
本物の「みさとりん」は、アームソードの背後からバブル・ラップを放った。

おわーっ!
うっ、後ろからとは卑怯な・・・。

魔星相手に卑怯も何も無いわ。
みさとりんは、泡に包まれたアームソードに近付く。

お、お前は、この前、俺に体当たりしてきた少女・・・。

ど、どういう事?

とぼけても無駄だ。
喉元に剣を突き付けた時に、怯えていた目が、そっくりだ。

バレてしまっては仕方無いわね。
(仮面を着けて、顔を隠しているとは言っても、
仮面の穴から特徴のある目が見えてしまうのは仕方の無い事ね)

あの時の少女が、みさとりんだったとはな・・・。

私の正体に気付いたところで、もう遅いわ。
泡に包まれた今、それを同胞に伝える事が出来ないんですものね。

それにしても、この前の事といい、今日の事といい、
本物の「みさとりん」が隣りにいながら、2度も見逃すとは、
俺の正体暴きも詰めが甘いな・・・。
アームソードは、みさとりんのポシェットへと吸い込まれる。

さすが、本物の「みさとりん」。
魔星を、いとも簡単に始末するなんて。

てへっ。
本物みさとりんは、いつもなら得意気に鼻をこするところであるが、
今回は意識してか、照れ臭そうにペロッと下を出すのだった。

今日は、みさとりんのコスプレをしていて、
本物の「みさとりん」に会えたり、魔星に襲われたりと、
すごく貴重な経験が出来たわ。

ウフフ、良かったわね。
では、これからも
魔星ハンター・みさとりんを宜しくね。

ええ、もちろんよ。
本物みさとりんとコスプレみさとりんは、手袋をした右手で固い握手を交わした。