みさとりんの戦いが終わる。

とうとう魔星を全て片付けたわね。


短い間だったけど、お仕事、お疲れ様。

みさとりんにメグミを選んで大正解だったわ。

えへへ。
照れ臭いな~。
みさとりんは、得意気に手袋をした右手の人差し指で鼻の下をこする。

魔星退治も終わった事だし、これから由衣と由夏は、どうするの?

私達は、次のエビル・レボリューションに備えて
スター・シップの中で長い眠りにつく事になるの。

スター・シップの中で?

そう。
スター・シップの中は、
フェアリー・スターとは全く次元の異なる世界で、
幽体である私達が、唯一存在する事が出来る空間なの。

で、エビル・レボリューションが近付いたら、また目覚めて、
次の「みさとりん」候補を探す事になるのよ。

今になって聞くけど、由衣と由夏は、どうして死んじゃったの?

私達は、250年前の魔星との戦いで命を落としたのよ。


5代目の救世主は、セイント・ガードで矢を防いだものの、
残りの2本は、1本ずつ、私達の胸を射抜いたわ。

私達は、女神一族の末裔だったから、私達が亡くなった事で、
1,000年続いた女神一族は、滅んでしまったの。

しかし、フェアリー・スターを魔星の手から守る為には、
みさとりんの力が必要不可欠。

そして、みさとりんをサポートする為に、
私達は、超魔術によって幽体として復活させられたの。

私も、由衣と由夏に出会うまでは、女神なんて、
伝説上のもので、本当にいるとは思っていなかったわ。

当然よ。
幽霊だもの。
信じる人なんて、いないわ。

ここからは、あなたの話になるけど、
1度、みさとりんになった者は、死後、
スター・シップ内のシークレット・ルームに留まる事になるの。

メグミは、死後、みさとりんになった年齢である12歳のままで、
シークレット・ルームに来る事になるのよ。

ヨボヨボのおばあさんじゃないのはいいけど、信じられない。
死んだ後も人生が、あるなんて・・・。

死後の世界だから、人生とは呼べないかもしれないけど、
ずっと12歳のままの姿で、
これからの「みさとりん」の手助けをする事になるの。

私が、5代目の救世主にバトントワリングを教えてもらったように?

そう。
今は、半信半疑かもしれないけど、
歴代の「みさとりん」に会ってみて分かったでしょ?

あれは、ホログラムなんかじゃなくて、歴代の「みさとりん」は、
魂となって本当に存在しているんだ・・・。

ただ、例外もあるけどね。

鬼頭真姫とか?

そう。
シークレット・ルームに来る事が出来るのは、
次世代の「みさとりん」の手助けをする事が出来る者だけよ。

彼女のように実力はあっても、
みさとりんの力を悪用するような者は必要無いって事ね。

次世代の「みさとりん」に悪知恵を吹き込まれては困るからね。

じゃ、そろそろ、次の「みさとりん」にバトンを渡そうか。

バトン?
デストロイヤーを発射した、あのバトンね。

ちが~う。
みさとりん、変身を解いて。

あっ、バトンというのは、みさとりんのコスチュームの事?

正解。
次の「みさとりん」の為に、スター・シップ内に保管するのよ。

マネキンが着ていた時のように・・・。

私は、もう「みさとりん」には変身出来なくなってしまうの?

そうよ。
みさとりんとしての役目が終わったからね。

みさとりんは、変身を解き、メグミの姿に戻った。

由衣と由夏にも、もう会えないのは寂しいな~。

何を言っているの。
死んだ後、また会う事になるのよ。

そっか。

生きている間は、メグミには、
フェアリー・スター星人としての人生があるわ。

それでは、一旦お別れね。

最後に、これを、あげるわ。
メグミは、玉手箱のような物を受け取った。

わぁ、綺麗ね。
中には何が入っているの?

それは、開けてからのお楽しみよ。


タイム・ストップの魔法は、使う度に、その都度、
私達だけ時間が経過するから、もう清算は終わっているわ。

正直なところ、タイム・ストップによって経過した時間は、
累計で、どのくらいだったの?

1年ぐらいかな?

私は、同年代の人に比べて1歳老けてしまったのね。
たった1年と言えば、それまでだけど、勿体無いような気も?
でも、あの魔法には、かなり助けられたもんね。
この箱、今、開けてもいい?

残念ながら、今は開けられないの。
メグミが、15歳の誕生日を迎えた時に開ける事が出来るようになるわ。

今から3年後の高校1年生の時か・・・。
どうして、そこまで引っ張るのか、よく分からないけど・・・。

高校1年生になってみれば分かるわ。
それじゃ、メグミ、死後、また会いましょう。

じゃあ、またね。