みさとりんは、ジャックのいる所へ向かう。

ジャック、昨日は、よくもやってくれたわね。
あんな屈辱、初めてだわ。

また、留め紐を切られに来たのか?

今度は、前のようにはいかないわよ。
よく見てご覧なさい。
みさとりんは、耳の横の髪を掻き上げる。

仮面の紐が無くなっている!
粘着テープに替えたのか?

それは秘密よ。

まあ、いい。
このナイフで、お前を切り刻んでやるぜ。

(刃物を持った相手との接近戦は危ないわ。
タイム・ストップを使わないと・・・。
前回の敗因の1つは、タイム・ストップを使わなかった事。
老ける問題は、時を止めている時間を短くする為に
素早く行動を起こす事で解消出来るわ)
ジャックは、ナイフを構えた。

私は、マジシャンよ。
あなたに手品を見せて上げるわ。
イッツ、ショータイム。
そう言った後、タイム・ストップで時を止める。
そして、ジャックに近付き、持っているナイフをバラの花に差し替えた後、
ジャックと距離を取って、タイム・スタート。

いくぜ。

その前に、あなたの手に持っている物をよく見てみるのね。

な、なんだ、これは?
バラじゃねえか!

ウフフ、だから言ったでしょ。
私は、マジシャンだって。

信じられないような手品だ・・・。
ならば、これは、どうだ!
ジャックの手にレーザーナイフが現れた。


でも、私に近付かなければ、私を刺す事は出来ないわ。
ジャックが、突っ込んで来る。

イッツ、ショータイム。
そして、タイム・ストップ。
時を止め、ジャックとは反対側に移動し、距離を取る。
そして、タイム・スタート。

なにぃ?
みさとりんが消えた!

私は、ここよ。
ジャックは、振り向き、驚く。

い、いつの間に俺の後ろ側へ?

どう、すごいでしょ。
私は、瞬間移動も出来るのよ。
これで貴方は、私に近付く事さえ出来ないわ。

これも信じられんマジックだが、
ならば、秘奥義「レーザー・ランチャー」。
ジャックが、レーザーナイフを「みさとりん」目掛けて発射する。

強風によって、レーザーナイフは、遥か彼方へと飛ばされた。

な、なぜ、実体の無いレーザーナイフが・・・。

ビッグ・ウインドは、物だけでなく、
魔星の攻撃そのものも跳ね返す事が出来るの。

とてもマジシャンとは思えん。

それでは、手品の種明かしよ。
実は私、魔法使いなの。
嘘ついちゃってゴメンね。
みさとりんは、ペロッと舌を出した。


うわーっ!
その後、みさとりんは、ジャックをデビル・スターへと送った。

ジャックへのリベンジも果たした事だし、次は、カメレオンよ。
みさとりんは、カメレオンのいる場所に向かう。
その頃・・・。
エビル・レボリューションにより、フェアリー・スターに戻って来た魔星達が、
猛威を振るっている事は、連日、新聞やニュースでも話題になっていた。
しかし、一方で魔星を退治する少女がいる事も話題になっていた。
そして、偶然にも「みさとりん」とカメレオンが戦っているところを目撃した少年がいた。

しまった!
みさとりんに見つかっちまった。

私から逃げられると思って?

仕方ねぇ、泡の魔法が使えないように、お前の腕を封じてやる。
タング・キャプチャー。
カメレオンは、長い舌を出すと、舌が「みさとりん」の右手に巻きついた。

へへへ、どうだ!
泡が出せまい。

いいの?
こんな事して。

何を強がっている。
次は、お前を飲み込んでやる。
タング・スワロー。
カメレオンは、出した舌を口の中に引っ込める事で「みさとりん」を飲み込もうとした。

あなたの胃袋に入ってたまるもんですか。
みさとりんは、手袋をした左手をカメレオンの舌に当てた。

ギャーッ!
電撃が、舌を伝わってカメレオンに浴びせられる。

うぐぐぐぐ・・・。
カメレオンは、その場に倒れる。

バブル・ラップ。
カメレオンは、泡に包まれた。

そして、カメレオンが、ポシェットの中へと吸い込まれる。

すごーい!
あなたが今、世界で噂になっている少女ですか?

ええ、私が、魔星ハンター・みさとりんよ。

みさとりん?!

この「みさとりん」がいる限り、
フェアリー・スターに魔星は栄えない!
ウフフ・・・。
そう、言い残すと、みさとりんは、マントを翻して消え去るのだった。

魔星ハンター・・・。
少年は、この時の様子をカメラで撮影していた為、早速、動画サイトに動画を投稿した。
すると・・・。

昨日、動画を観たんだけどさ。
今、話題になっている少女・・・。
みさとりんって、言うんだって。

おお、俺も噂だけは知ってるよ。
少女でありながら魔星に勝てるとかで・・・。
しかし、すげえ奴が現れたもんだなー。

仮面を着けていて顔はよく分からなかったけど、
まだ小学生ぐらいの少女だったぜ。

妙な魔法を使うんだろ?
魔星を泡で包んで消してしまうとか・・・。
そして、メグミも、携帯電話で、その動画を見ていた。

あっ!
これ、私じゃない!
そうか、昨日、会った、あの人が動画に撮っていたんだ。
それにしても、私ってカッコイイし、強いな~。
メグミは、自慢気に右手の人差し指で鼻の下をこする。

みんな、私が「みさとりん」って知ったらビックリするだろうな~。
(あっ!
いけない、いけない。
みさとりんの正体は、秘密なんだから・・・ )
慌てて、両手を口に当て、独り言とはいえ、
誰にも聞かれていなかったかを心配するメグミなのであった。