エルフの塔から少し進んだ所に砦があり、その砦から少し離れた所に集落があった。

最後の4人衆は、オドーよ。
ゼウスは、オドーの砦にいるって事ね。

なにやら村の人々が集まって話をしているわ。


何か、お困りですか?

あなたは、誰ですか?

私は、魔星ハンター・みさとりん。

おお!
あなたが、噂の「みさとりん」ですか?

私が、あの砦に行って魔星を退治してきましょうか?

それは助かります。
ですが、あの砦は、普段は結界に覆われている為、
中に入る事は不可能です。
唯一、結界が消えるのは生贄を通す時だけです。
しかし、あなたでは魔星に捕まってしまいます。

それでは、私の親友に生贄になってもらいます。
そして、結界が解かれた瞬間を狙って私も中に入るようにします。

危険だが、大丈夫かな?

ええ、私に任せて下さい。

それでは明日の夜、この村に来て下さい。
そして、次の日の夜・・・

メグミです。
みさとりんに頼まれて来ました。
メグミは、ウェディングドレスに身を包み、その村に現れた。

おおー、これはまた可愛らしいお譲ちゃんではないか。
これほどの美人なら魔星も満足する事だろう。

それほどでもないですわ。
メグミは照れ臭そうに、ミドル丈のウェディング手袋をした右手の人差し指で鼻の下をこする。

ところで「みさとりん」という少女は?

先に結界の近くへ行って待っていると言っていました。
そこへ少年が掛け寄る。

どうか気を付けて下さい。
私の妹も先週、あの砦へ連れて行かれたんです。
同年代の者として、あなたの事が心配です。

私は平気です。
みさとりんが、必ず助けてくれると信じていますから。

それでは、もうすぐ魔星が、やって来る頃です。
ここで待っていて下さい。
村人達が、その場から離れると、護衛の魔星・ドリアンが生贄を迎えに来た。

お前が、今日の生贄か?

はい。

上玉じゃねえか!
これならオドー様もお喜びだ。
ドリアンは、メグミを抱えると、砦の方へと帰って行った。
そして、砦の中に入ると、4人衆・オドーが玉座に座って待っていた。

おお、この娘が今夜の生贄か?
なかなかの美人ではないか。
どれ、早速、頂くとするか。
オドーは、メグミに抱き付き、キスをしようとした。

キャッ!
止めて・・・。
とっさにメグミは、右手をオドーの口の前に持って行き、
間一髪キスを防いだが、手袋にオドーのよだれが付いた。
手袋をにおうメグミ。

(くっ、くっさぁ~)

ワシのキスを拒むとは許せん奴だ。
儀式が始まるまで牢屋に入れておくのだ。

へーい、オドー様。
メグミは、ドリアンに連れられ、牢屋へと案内される。
そして、牢屋の中でメグミは、眩いばかりの光に包まれ、みさとりんに変身した。

何だ、今の光は?
牢屋の小窓から漏れた光の正体を確認する為、ドリアンが牢屋の扉を開けると、
いきなりバブル・ラップで包まれる。

お、お前は「みさとりん」!


おわーっ!
ドリアンを電撃で気絶させ、牢屋の鍵を奪い取った後、シュート・インする。
そして、みさとりんは、他の牢屋に閉じ込められている少女達を救出した。

みさとりん、助けに来てくれたのね。

私達、どうなるのか心配だったわ。

あ~、怖かった~。

もう安心よ。
さ、ここから外へ逃げるのよ。
少女達は、全員、砦の外へと避難する。
そして、オドーのいる部屋へと向かう「みさとりん」。

お、お前は「みさとりん」!
なぜ、お前が、ここへ?

今日、生贄になった少女を連れ戻しに来たの。
あなたなんかには勿体無いわ。

うぬ~、言わせておけば・・・。

護衛の魔星は、もう退治したわ。
あなたも、おとなしく観念したら?

ううっ、よくもドリアンを・・・。
こうなったら、この砦を破壊し、
牢屋に閉じ込めてある少女達も全員、道連れよ。

生憎、そう思って少女達は、みんな非難させてあるの。

な、なんと用意周到な娘・・・。

あ~ら、私だって、そのくらいの事、ちゃんと考えているわ。
得意げに手袋をした右手の人差し指で鼻の下をこする「みさとりん」。

覚悟!

そうはさせるか!
オドーは、みさとりんに向かって、おならをした。
「ブーーーッ!」

いや~ん、くっさぁ~い。
手袋をした両手で鼻と口を覆う「みさとりん」。

ハハハ、どうだっ。
ワシの屁の味は?

おならをするなんて女の子に対して失礼よ。
私は、臭い人が嫌いなの。
みさとりんは、バブル・ラップを放ち、泡に包まれるオドー。

しかし、本当に不思議だ。
お前は、一体どうやって砦の中へ?
みさとりんと言えど、結界を破る事は出来ないはず・・・。
もしや、さっきの生贄の娘が、お前(みさとりん)なのか?

シュート・イン。
これで一段落だわ。
そして、オドーが、デビル・スターに帰った事で砦が崩壊し始める。

わっ、やばい!
私も早く脱出しないと・・・。
砦の外に逃げた少女達は、結界が消えた事で村へと帰って行った。
そして、次の日の朝、みさとりんが、村に現れる。

魔星達は、私が退治しました。
これで、もう二度と生贄を要求される事はありません。

この村に平和が戻った。

ありがとうございました。

あなたは、真の救世主です。

とんでもない。
当然の事をしたまでです。
じゃ、私は、これで・・・。

待って下さい。
振り向く「みさとりん」。
砦に行く前に掛けつけて来た少年である。

私の妹を助けてくれてありがとう。
あなたのような勇気のある女の子は初めてです。
でも、気になったのですが、
昨日、生贄になったメグミという少女が、あなたなのでは?

ううん、違うわ。
私は、親友ほど綺麗じゃないわ。
その頃、デビル・スターで、オドーは「みさとりん」に変身する前の
生贄の少女の時に早く食べておかなかった事を後悔していると、
デビル・スターの同胞に話していた。
みさとりんは、くしゃみをし、手袋をした右手の人差し指で鼻の下をこする。

嫌だ。
誰かが私の噂をしているみたいだわ。

(あっ!
やっぱり。
鼻の下をこする仕草が、メグミという少女と同じだ。
右手で、人差し指で、間違いない)

では、失礼。
逃げるように、その場から立ち去る「みさとりん」を見て少年は悟った。

(昨日の生贄の少女が「みさとりん」に間違い無い。
しかし、みさとりんには正体を隠さなくてはならない理由があるのだ。
これ以上の詮索は止めておこう)