
みさとりんは、空を飛んだり、相手に電撃を浴びせられるようだ。
ならば、素早い動きで「みさとりん」を翻弄する手はどうか?

ゼウス様。
必ずや「みさとりん」を仕留めてみせます。

頼んだぞ。
デスブレイド。

とうとう四天王も最後の1人を残すのみとなったわね。

でも、四天王の将である「デスブレイド」は、剣の達人よ。
それにスピードも尋常じゃない速さだわ。

そして、デスブレイドとの一戦。
デスブレイドが、切り掛って来たその瞬間。

タイム・ストップ。
切られる寸前の所で時間を止め、みさとりんは、体を1歩右にずらした。
そして、タイム・スタート。
時が動き出し、デスブレイドの剣は、空振りに終わってしまう。

よくぞ今の一撃を交わした。
さすがは四天王を倒してきただけの事はあるようだな。
そして、再びデスブレイドが切り掛かって来るが、
またもタイム・ストップの魔法で時間を止め、
今度は、デスブレイドの背後に回り、みさとりんは、時をスタートさせる。

き、消えた?

私は、こっちよ。
振り返り、驚くデスブレイド。

ど、どういう事だ?

いくらスピードが速いと言っても、私には傷1つ付けられないわ。

この俺より速く動ける者がいるとは・・・。

四天王とは言っても、私が相手では
魔星の力なんて所詮こんなものなのよ。
みさとりんは、得意気に手袋をした右手の人差し指で鼻の下を擦る。

なんだとー!
四天王最強を誇るこのデスブレイドが、
お前のような小娘ごとき仕留められないはずが無い。
ならば受けてみろ!
俺の必殺の奥義を・・・。
デスブレイドが消える。

えっ?
どこに行ったの?
分からないわ。
とりあえずタイム・ストップ。
みさとりんは、辺りを探したが、デスブレイドは見つからなかった。

みさとりん、あなたの真下にいるわ。
イヤリングから由衣の声が聞こえる。

ええっ?
足元を見ると、自分の真下にデスブレイドが潜んでいたのである。

いやんっ。
私のスカートの中を覗くなんて。

そんな事、言ってる場合じゃないでしょ。
デスブレイドは、真下からあなたを一刀両断にしようとしていたのよ。

真っ二つになってたまるか!
みさとりんは、その場から移動し、時をスタートさせる。
すると、デスブレイドが、剣を一閃。
しかし、デスブレイドの剣先が、みさとりんを捉える事は無かった。

デスブレイドは、泡に包まれる。

私の勝ちね。

悔しいぜ。
誰にもかわされた事の無い
必殺の奥義までもが空振りに終わるとは・・・。

あなたが悪いんじゃないわ。
私が、選ばれし者だからよ。

俺は、生まれて初めて戦いに敗れた。
せめて自分を倒した相手の顔だけでも見てみたい。

いや~ん、それは駄目よ。
みさとりんが、魔星なんかに素顔を見られるなんて許せないわ。

何故、お前は、マスクを着けて正体を隠そうとする?
みさとりんは、目線を上にして、

う~ん、何故かなぁ?
私も、よく分からないけど、ほら、正義の味方は、
正体を明かさないって言うじゃない。
(本当は、変身前の弱い時に
命を狙われないようにする為なんだけど・・・)

そうか・・・。
しかし、そんな訳の分からん理由で、
相手の顔も知る事が出来んとは、無念だ・・・。
みさとりんは、両手を腰に当て、

しょうがないじゃない。
しかし、デスブレイドの必殺の奥義は、空振りに終わったとはいえ、
執念の真空刃が、みさとりんの仮面の留め紐を切り裂いていた。
そして、かろうじて繋がっていた仮面の留め紐が、とうとう切れ、仮面が剥がれ落ちる。

キャッ!

おお!
どんな顔をしているのかと思えば、意外にも美少女。
これで悔いは無い。
みさとりんは、マントで顔を覆い、素顔を隠す。

何を言っているのっ!
私の正体は、秘密なのよっ。
そして、地面に落ちた仮面を拾い上げ、仮面を着け直す「みさとりん」。
デスブレイドは、ポシェットの中へと消えて行く。

素顔を見られてしまったけど、大丈夫かな?

バブル・ラップで包んでいたから、
ゼウス達には情報は漏れていないはずよ。

それに、その近くにフレアー反応も無いから、
他に魔星もいない事だしね。

だったら、いいんだけど・・・。
でも、由衣と由夏も、私の顔を見たんでしょ?

ううん。
私達は、あなたを後ろから見ていたから素顔までは見えなかったわ。

あ~、良かった。
由衣と由夏と言えど、みさとりんに変身している以上は、
仮面の下の素顔は見られたくないわ。

とりあえず、四天王も全て撃破した事だし、
一度、スター・シップに戻った方がいいわ。

うん。
そうするわ。
みさとりんは、その場を後にするのだった。