フェアリー・スター内のパトロールをしていた。

由衣、この地点から何やらフレアーを感じるわ。

魔星がいる訳でもないのに奇妙ね。

私が見て来るわ。
みさとりんは、スター・シップで、その地点まで移動した後、降りて捜索を開始する。
そして、周囲を歩く事、5分。

別に何も無いけどな~。

おかしいわね。

それはそうと、今日は仮面が、やけにズレるわ。
何故かしら?
みさとりんは、手袋をした両手で仮面のズレを補正する。

留め紐が緩いのかしら?
仮面を気にしていると、

あら?
こんな所に鏡が・・・。
ちょうど良かったわ。
仮面の紐を調整し~ようっと。
その時、イヤリングから由夏の声がした。

みさとりん、その鏡を覗き込んではダメよ!
しかし、もう「みさとりん」は鏡を見ながら、耳の横にある髪をかき上げる仕草をしていた。
すると、今まで髪に隠れて見えなかった仮面の留め紐が見えた。

フハハハハ、見てしまったぞ。

だっ、誰?

みさとりん、メデューサよ。
そいつは鏡に映った者を自在に操る魔星よ。

なんですって。
鏡を見ると、みさとりんの背後に髪が蛇の女が映っていた。
みさとりんは振り返るが、

もう遅い、ミラーフィックス。
みさとりんは硬直した。

きゃっ、体が動かないっ!
フレアーを放っていたのは、この鏡だったのね。
そして、メデゥーサは、仮面の留め紐を触る。

きゃっ!
そこは触っちゃ駄目よ。

この留め紐を外せば、お前の仮面は落ちる。

離しなさいっ!
そんなのイヤよ。
私の正体は秘密なんだから。

ヒッヒッヒッ、そら。
メデゥーサは、留め紐を揺さ振り始めた。

キャーッ!
止めてーっ!
みさとりんの仮面は、薄皮1枚。
仮面が外れれば、素顔が露わになってしまう。
しかし、動けないのは鏡に映った上半身だけで、
手首から先だけは、かろうじて硬直していなかった。

メデューサに向けた右手の人差し指から泡が発生し、メデゥーサは泡に包まれる。

ううっ、もっと大きな鏡であれば、
お前の動きを全身封じる事が出来たものを・・・。

危ない、危ない。
もう少しで仮面を剥がされるところだったわ。

私はまた、あの地獄へと帰る事になるのか・・・。

そうよ。
再びデビル・スターで苦しむがいいわ。

では、みさとりん、頼みがある。

何?

その鏡は、私にとって命とも言える大事な物。
デビル・スターに送られるなら一緒に持って行きたい。
取ってはくれぬか?

ええ、いいわ。
みさとりんは、鏡を手に取った。

ハハハハハ、引っ掛かったな。
喰らえ、ミラーサクション。
しかし、何も起こらなかった。

何故、みさとりんが、鏡に吸い込まれんのだ?

何ですって?
私を鏡の中に閉じ込めようとしたのね。
生憎だけどバブル・ラップに包まれた今、
あなたの魔法は封じられているのよ。

そうだったのか・・・。

ええーいっ。
私を騙そうとするなんて許せないわ。
こんな鏡、こうしてやるっ。
みさとりんは、鏡を地面に放り投げると、ブーツのかかとで鏡を踏みつけ、鏡を割った。

ギャーッ!
メデューサの顔にヒビが入った。

メデューサと鏡は、一体だったのね。

鏡を割られた今、もう私は終わりだ。

あなたの死に様なんて見たくないわ。
シュート・イン。
メデューサは、デビル・スターへと送られた。
そして、メデューサの魔法「ミラーストーン」によって石にされていた少年が元の姿に戻る。

ハッ、僕は今まで何をしていたんだ?
そうか!
僕は、メデューサに石にされて・・・。

もう大丈夫よ。
メデューサは、もういないわ。

あなたが助けてくれたんですね。
ありがとう。

えへへ・・・。
そんな風に言われると照れ臭いわ。
みさとりんは、手袋をした右手の人差し指で鼻の下をこするのであった。