フェアリー・スターのとある場所でミニバスケットボールの試合が行われていた。
1人の少女が、味方からパスを受けると、ジャンプして相手ゴールへとシュート。
見事、シュートが決まり、

ナイッシューッ。

エへへ。
得意気に右手の人差し指で鼻の下をこするのは、
メグミという、一見どこにでもいる普通の女の子。
この少女は、父と母との3人暮らしという一般的な家庭に育ち、
聖(セント)クラリス学園に通う、まだ12歳の小学6年生。
何の取り柄も無い彼女ではあるが、これならと思ってやってきたバスケで
ヒーローになる事を目指していた。
そして、試合は進み、30対31で負けてはいたが、試合終了の10秒前に、
相手チームのゴール付近でメグミはボールを手にする。
ここでシュートを決めれば、逆転勝ちとなるところではあったが、
当たり負けしそうで怖いのか、なかなか踏み込んでいけないメグミ。
すると、モタモタしているうちに、相手チームにボールを奪われてしまい、
メグミのチームは、負けてしまった。

せっかくのチャンスに何やってんのよっ。
今日の敗因は、メグミの勇気の無さよっ。
同じバスケ仲間でクラスメイトのヒトミから厳しい一言を言われてしまう。

私って、気が弱いんだよね~。
バスケの試合が終わり、家に帰ったメグミではあったが、試合の事が頭から離れなかった。
部屋の明かりを消してベッドには入ったものの、なかなか眠れず、
両親が眠りについた深夜0時を過ぎても、まだ起きていた。
すると、突然、メグミの体は、不思議な力によって別の場所へとテレポートされた。

えっ?
ここは、どこなの?

驚かせてゴメンね。

あ、あなた達は誰っ?

私達は、フェアリー・スターの女神、由衣と由夏。

女神?
そんなの、伝説のものでしょ。
これは、夢ね?

ううん。
夢なんかじゃないわ。
私達の足元をよく見て。

う、浮いてる・・・。
メグミは、自分の頬をつねってみた。

痛いっ!
これは間違いなく現実だわ。
それに、私を、こんな所へ連れ出す事が出来るなんて・・・。

少しは信じてもらえた?

う、うん・・・。
で、でも、私をどうするつもりなの?

実は、ある話を聞いてもらいたくて、あなたをココへ誘い出したの。

話?

もうすぐフェアリー・スターにデビル・スターという星が
最接近するっていう話は、御存知でしょ?

もちろん。
250年に1度の天体ショーでしょ。
それが、どうかしたの?

魔星(ませい)が、フェアリー・スターに戻って来ようとしているの。

魔星?

簡単に言えば、凶悪犯の事よ。

凶悪犯?
でも、それが、私に何の関係があるの?

あなたに魔星を退治して欲しいの。

退治って、凶悪犯を相手に、私にそんな事、出来るはずないじゃない。

大丈夫。
そこにある無敵のコスチュームを着れば、魔星なんて敵ではないわ。
メグミが、後ろを振り向くと、無敵のコスチュームを着たマネキンがあった。
線画 by りるくてぃ様
着彩 by 祠(ほこら)様
魔法少女の塗り絵コンペ
最優秀賞受賞作品

こ、これは?

「みさとりん」のコスチュームよ。

みさとりん?

250年前、「魔星(ませい)」から
フェアリー・スターを救った救世主よ。

救世主・・・。
だったら、女神である貴女達が、このコスチュームを着て
救世主になればいいんじゃない?

私達は、実体が無いから「みさとりん」にはなれないの。

だから、私達は、2つの星の最接近に備えて何年も前から
フェアリー・スター星人の中で代わりになる人を探していたの。

でも、どうして、このような話を私に?
人なんて他にも、いっぱいいるのに・・・。

みさとりんは、誰でも、なれる訳ではないの。

私達は、今、フェアリー・スターの中で、
最も「みさとりん」に、ふさわしい者として
あなたを選んだのよ。

でも、私のような女子小学生が、凶悪犯になんて本当に勝てるの?

大丈夫。
みさとりんに変身すれば、魔星なんて敵ではないわ。

強力な魔法を武器に魔星なんてイチコロよ。

どういった基準で私が選ばれたのか、
全くもって理解できないんだけど、少し嬉しいかも・・・。

決まりね!
じゃ、あなたの体と「みさとりん」のコスチュームを融合させるわ。

ゆ、融合って・・・。
マネキンが着ているコスチュームを取り外して、
フィッティングルームで着替えるのかと思っていたわ。

そうじゃないの。
言葉を唱えるだけで「みさとりん」に変身できるようにするのよ。

ちょ、ちょっと待って!
改造人間みたいで、怖いわ・・・。
一晩、考えさせて。

分かったわ。
でも、この事は誰にも言わないでね。

うん。
私は、口は堅い方よ。

じゃ、返事は明日という事で、今日は、おやすみ~。
由衣は、メグミを家までテレポートさせるのであった。