
さて、最後の泡は誰かなぁ?

クスッ、潔いのね。
それに、あなたはハンサムだわ。

俺もメデューサにやられたんだ。

(私は、硬直状態だけで済んだけど・・・)

メデューサは、自分の容姿に自信が無いから、
妬みで美しい者を鏡の中に永遠に閉じ込めようとする。

じゃ、鏡の中に閉じ込められなかった私は
メデューサよりブサイクって事?
怒る「みさとりん」。

そう熱くならない方がいいわよ。
仮面で素顔が分からなかったんだから。

メデューサは、仮面を剥がして、
自分より美人かどうかを見極めようとしたのよ。

そして、メデューサの鏡が割れた事で、封じ込める魔力が無くなり、
俺達が解放されたという訳さ。
そして、ギガントは、話を続ける。

俺は、フェアリー・スターが嫌いだ。
デビル・スターで魔星になった方が、性に合っている。

信じられない・・・。
でも、何故?


ええーっ!
200年も・・・。

そうだ。
フレアーによって様々な遺伝子が異常を起こし、
ガンにもならなければ、死ぬ事も無い体となったのだ。
そして、アイツは、他の魔星に寿命を与える事が出来る。

寿命を?

ゼウスから寿命を分けてもらう事で、
数十年、数百年と生き延びる事が出来るって事さ。
それに自分は不死だから、いくらでも寿命を授けられる。

あのスケベのゼウスが、魔星の頂点に君臨できている理由。
分からないでもないわ。


魔星とは言え、色んな事を教えてもらったから
デビル・スターに帰る前に何かしてあげられる事はないかな~?
そうだ!
この武器だけ、持ち主が、よく分からないの。
高いフレアー反応があるから、
以前からデビル・スターにあった物のようなんだけど・・・。

おお!
それは、デビル・スターに古くから伝わる
アトラスの巨大ハンマーではないか!
しかし、メデューサにとって、こんなにも重く、不釣り合いな物を、
なぜ持っているのか、よく分からんが、まぁいい。
俺が貰っておく事にしよう。

良かった。
あなたには、お似合いだわ。
みさとりんは、ギガントとハンマーをデビル・スターに送った。

さぁ、これでやっと、全ての泡の処理が終わったわ。
しかし・・・。

みさとりん、大変よ。
アルゴスという魔星が、フェアリー・スター星人を脅しているわ。

仕事が、一段落して、ゆっくり休みたいところだけど、
急いだ方がいいわ。
みさとりんが、アルゴスの前に現れる。

みさとりんか!
見つかってしまったからには仕方ねぇ。
お命、頂戴するぜ。
うりゃっ!
アルゴスは、みさとりん目掛けて何かを投げた。

みさとりんは、時を止め、アルゴスが投げた物を確認した。
すると、それは、カッターのような刃物だった。

ははー、これで私を倒そうって訳ね。
みさとりんは、刃物の軌道を修正し、時を流す。

刃物は、みさとりんの後方へと飛んで行った。

ほう、俺の攻撃を交わすとは、なかなかやるようだな。
しかし、これで俺の目的は達成された。

どういう事?
攻撃を交わされたのよ。

いいんだよ。
それでは「みさとりん」、しばらく、おしゃべりでもしようか。

何を馬鹿な事を言っているの?
(それにしても、この余裕、なんかクサイわね)

みさとりんは、彼氏は、いるの?

あなたの話に付き合っている暇は無いわ。

いきなりかよ。
もう少し楽しもうぜ。
アルゴスは、泡に包まれた。
そして、みさとりんの背後から奇妙な音が聞こえて来た。
「キュイーン」

何の音?
アルゴスが、最初に投げた刃物が戻って来たのだ。
そして、背後から「みさとりん」の仮面の留め紐をかすめた。

きゃっ!

チッ。
アルゴスは、舌打ちする。

あの刃物って、ブーメランのように戻って来るようになっていたのね。
危なかったわ。
そして、仮面の留め紐は、紙一重のところで切れず、残っていた。

お前を背後から倒せるはずだったんだが、
何故、ズレるはずの無いカッターの軌道がズレたんだ?

(時間を止めた時に軌道を、ずらされたとも知らずに・・・)
クスッ。

何が、おかしい。
みさとりんは、いつものように誇らしげに手袋をした右手の人差し指で鼻の下を擦っていると、
仮面がユラユラと動き、かろうじて繋がっていた留め紐が切れ、仮面がハラリと落ちた。

キャッ!

おお!
みさとりんは、すぐにマントで素顔を覆い、地面に落ちた仮面を拾い上げ、
マントの中で仮面を着け直した。
早速、アルゴスは、みさとりんの素顔の特徴をテレパシーでゼウスに伝えようとしたが、
泡に包まれた今、テレパシーは届かなかった。

チッ!
これが、泡に包まれる前だったら良かったのにな~。
世紀の一瞬だったのによ~。

もう、あなたなんかと関わりたくないわ。

ショエーッ!

アルゴスを、さっさとバブル・ラップで包んでおいて良かったわ。
でも、魔星に素顔を見られてしまうなんてショック・・・。