ゼウスが、フェアリー・スター上から消え、魔星討伐は、全て終わったかに見えた。
しかし、まだエスケープが、みさとりんのポシェット内の次元の歪んだ所に残っていた。

ゼウス様もフェアリー・スターから居なくなり、魔星は全滅か・・・。
いや、俺が残っている。
しかし、いつまでも、ここに居る訳にもいかない。
みさとりんも、もう戦いは終わったものと思っている事だろう。
よし、ここから脱出するぜ。
エスケープは、フェアリー・スター上に姿を現したが、
次元の歪んだ場所からのテレポートだった為、場所までは指定できなかった。

ふぅーっ。
フェアリー・スターに帰って来たのはいいが、
ここは、一体どこなんだ?

みさとりん、フレアー探知機が反応しているわ。

どうして?
魔星との戦いは終わったはずよ。

エスケープだわ。
まだデビル・スターには帰っていなかったのね。

もう、本当にしつこい魔星ね。

今まで、どこへ隠れていたのかしら?

分からないわ。
でも、行ってみましょう。
みさとりんは、エスケープのいる所へ急行する。

お、お前は「みさとりん」!

あら、お久しぶりね。
ゼウスならともかく、あなたが最後の魔星になるとは
思ってもいなかったわ。

まっ、待ってくれ。

ダメよ。
誰一人として例外は無いわ。
エスケープは、みさとりんから逃げようと、テレポートするが、
2~3歩離れた場所に移動しただけだった。

こ、これは、どういう事だ?
なぜ、もっと遠くに移動する事が出来んのだ?
エスケープは、次元の歪んだ場所からフェアリー・スターという特別なテレポートを行った為、
普段より多くのエネルギーを消費する事となり、フレアーを使い果たしてしまっていた。

あら、逃げるにしては、近場なのね。
もう一度、エスケープは、テレポートを試みるが、
今度は、少しどころか、全く位置が変わらなかった。

どうしてだ・・・。

あなたもゼウスと同じように、フレアーを使い切ってしまったようね。

フレアーを?

「今度こそ観念しなさい!」と言いたいところだけど、
魔星でなくなった貴方を、もう泡で包む事は出来ないわ。

そうか!
フレアーを使い切ったおかげで、
俺にはバブル・ラップが効かないってか?
それだけじゃない。
もう俺の居場所も探知できないって訳だ。
そして、テレポートが出来なくなったとしても、
俺には自慢の足がある。
みさとりんよ、さらばだ。

お待ちなさいっ。
しかし、みさとりんの足では、到底エスケープには追い付けない。

こうなったら、空を飛んで・・・。
しかし、エアー・フライトと言えど、スピードは、走る速度と同じ。
走るのに比べ、地面の抵抗を受けず、体力を消費しないと言っても、
エスケープのスピードには付いていけなかった。
距離は、どんどん広がるばかり・・・。

みさとりん、もう諦めましょう。
エスケープを捕まえたところで、
もうデビル・スターには帰せないんだから・・・。

それに、魔星でなくなったエスケープは、あなたより強いのよ。

こっちが、やられるかもしれないわ。
みさとりんは、エスケープを追う事を諦める。

ハァハァ・・・。
言われてみれば、そうよね。
もう魔法が効かないんだから・・・。
それにしても悔しいわ。
1人残らず、魔星をデビル・スターへ返すと誓っていたのに・・・。
それが、達成できないなんて・・・。
みさとりんは、悔し涙を流す。

みさとりん、そんなに悔しいんだったら、
ゼウスみたいにフレアーを浴びた袋に包めば、いけるかもしれないよ。

でも、本当にゼウスは、デビル・スターに帰ったの?

う~ん・・・。
それは、分からないわ。
だって、ポシェット内のブラックホールは、
フレアーを帯びた者(物)しか通って行けないのよ。

ポシェットの中には吸い込んだものの、
袋だけがデビル・スターに行って、
ゼウスは、宇宙空間を彷徨っているかもしれないわ。

そうなの?
人工衛星になったゼウスか・・・。
シュールね。

それと、今、分かったんだけど、エスケープは、
冤罪でデビル・スターに送られていたみたいよ。

そうだったんだ!

強盗殺人の濡れ衣を着せられ、無実を訴えたんだけど、
判決が覆る事は無く、デビル・スターへ送られ、
そこで、ゼウスと出会い、寿命を延ばしてもらいながら、
今回のエビル・レボリューションで
フェアリー・スターに帰って来たという訳なの。

でも、その後の調査で、真犯人が捕まったのよ。

無罪なのにデビル・スターで暮らしていたなんて可哀想だわ。

デビル・スターに帰さなくて正解だったね。

それにしても、フレアーが、永久のモノではないっていうのは
新たな発見だったわ。

デビル・スターで浴びたフレアーは、魔星自体に蓄積され、
魔法を使う度にフレアーを消費して、
最後には魔法が使えなくなってしまう・・・。

なんか、電池みたいね。

でも、みさとりんは違うわ。
エネルギー源が汗だから、生きている限り、魔法を使い続けられるわ。

ちょっと汚い話だけどね~。
最強のコスチュームを自負し、
誇らしげに手袋をした右手の人差し指で鼻の下をこする「みさとりん」であった。